発散と収束。

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「痴人の愛」谷崎潤一郎

 

 

 

中高の文学史で習ったな〜という程度の記憶だったが、友人に勧められて谷崎潤一郎の「痴人の愛」を読んだ。同じ作家だと「春琴抄」も読んだな。読んでいないけど「細雪」が一番有名な気がする。この人はエロティックな恋愛小説家のイメージあります。ぽつぽつと感想書きます。


■年上の男が年下の女をプロデュースすること

勧めてくれた友人曰く、若い子をプロデュースするのは光源氏と紫の上の関係に似てるとのこと。私は源氏物語詳しくないのでパッと思いつかなかったが、確かにそうだと思った。

同じように年上の男が年下の女をプロデュースする話として、ハリウッド映画の「マイ・フェア・レディ(1964)」とか、「プリティーウーマン(1990)」を思い出した。あと「サウンド・オブ・ミュージック(1965)」のSixteen Going on Seventeenという曲の歌詞もそんな内容。年上の男が年下の女を導くっていうのは一種普遍的な憧れなのかな。

さて上記であげた2つのハリウッド映画も、源氏物語も、男女が(作品によってはぶつかりながらも)最後は関係が上手くいって結ばれる。結構女が男を慕っている感じで終わると思う。しかし「痴人の愛」の結末は違っていて、男が縋り付くような形で終わるのだ。そこが面白い。

映画の中では美しく終わるかもしれないけれど(非の打ち所のないイケメンインテリ教授とかになら導かれてもいいけど、現実にはないと思う)、現実的には導かれる女は反発心も感じる。特に男のエゴや尊大な態度が強く出ているような場合嫌だろう。谷崎はその女側の反発を上手く描いていると思う。男が女を導くという前提へのアンチテーゼという感じがしていい。そこが新しいと思う。「痴人の愛」というタイトルも、男側をいじってて良い。


■男が抗えない、女の肉体的な魅力について

読了後にWikipediaを読んだりしていて思ったのだが、譲治は結局ナオミの肉体的な魅力に抗えず堕ちていった。①男にとって女の肉体的な魅力はそれだけ力を持つ時があるということと、②精神的な繋がりよりも、身体的な魅力に溺れる人がいる ということなのだろう。私は精神的な繋がりをどうしても求めてしまうような気がするので、譲治とは違うなぁと思った。


■被庇護者の自立

ナオミは引く程奔放な人だが、譲治の庇護下(引き取られた時15歳)では最初大人しくしていた。誰かの庇護下にある子どもが意思を持ってく様子が見られた。


■西洋への憧れとコンプレックス

小説を通してこれが半端ない。多少気持ちがわかるから自分も含め、なんでこんなコンプレックス持ってるんだろ?と思う。また、結構英語教育とか進んでいたみたいで、この時代(1924)の西洋化がどれほど進んでいたのか気になった。


■譲治とエリザベス1世

恋にうつつを抜かして多仕事を疎かにする譲治とは対照的に、イギリスのエリザベス1世のことを思い出した。国と結婚したとか言われてて、一生独身を貫いたという。はっきり言って譲治にはもっと責任感を持って欲しい(ナオミに出会うまでは真面目だったのに)。最後会社辞めてるし。


■ナオミと譲治のmbti

家事嫌いの2人は徐々にまともな生活を送れなくなる。洗濯しないので衣服は垢まみれで匂いを発しており、料理もしないので簡単に天やものやビフテキなどの外食で済ませ、家計が窮していく。(お手伝いを雇えばいいのだが段々そんなお金もなく)まともな生活を送るためには、そう言った現実的なことがとても大事なんだなぁと感じた。mbtiで言えば、2人は、ナオミが未発達のESFP型、譲治が未発達のISTJ型という感じなのかなと思った。(あれ、でもSJって家事得意なイメージですが…) mbtiの推測は難しい、小説だから推論の域を出ないし…


やっぱり谷崎潤一郎は「エロさ」「肉欲」って感じのイメージです。その中にちょっと新しい展開(女の立場が強い)っていうのがあって、面白いかも。そんなにどハマりはしないものの。でも「細雪」も読んでみたい。

 

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